2015年3月4日(水)
今回、FPRS(福岡歯周病研究会)で九州大学歯周病科の西村英紀教授に講演をお願いしました。
同会では、私が会長を務めている為、2年間、毎回座長をしています。
会員は約40名位で鹿児島などから、新幹線で来られて、宿泊される先生もいらっしゃいます。
当日は20時ジャストの開演で満席の状態でした。2時間たっぷりと西村先生に講演と質疑応答を行って頂き、その後場所を変えて、懇親会を午前0時まで行いました。
写真は左2人目から西村教授、船越先生、立山です。(船越ペリオセンターにて)
西村英紀九州大学歯周病学分野教授。
演題:糖尿病と歯周病―UP DATE
抄録:重症の歯周病を効果的に治療することで血糖コントロールが
改善することが、複数のメタアナリシスやシステマティックレビューで
確認されました。
私たちも、広島県糖尿病対策推進会議/広島県歯科医師会とのヒロシマスタディと名付けた介入研究において、歯周治療の有用性を検証しています。
ところが、その矢先に、JAMA にその効果を否定するような報告がセンセーショナルに発表されました。この結果の違いをどのように解釈すればいいのでしょうか。そこで、このたびの講演ではこの疑問点を紐解いていくとともに、糖尿病と歯周病の双方向の関連性についてUP DATEを紹介したいと考えています。
簡単な講演内容を紹介します。
歯周病は成人以降に重傷化する。
歯周病は糖尿病の第6番目の合併症である。
21世紀の国民病。
脂肪の摂取が増えた。交通手段が良くなった。
インシュリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とする。
動脈硬化症
1型糖尿病;絶対的不足
Ⅱ型糖尿病;インスリンの相対的作用不足
インスリン抵抗性;太った人はインスリン抵抗性が高い
メタボ;糖尿病
異常脂質結晶
高血圧
心筋梗塞が減らない。
隠れたところに何かあるに違いない。
アディポカイン>>炎症性細胞の浸潤が起こる。
TNF-α等 炎症性サイトカイン
肥満は炎症である。
内臓脂肪組織で炎症が惹起される。
インスリン抵抗性が惹起される。
肥満者ではインスリン抵抗性が亢進して糖尿病になりやすくなる
歯周病ではCRPが高くなる。肝臓由来の炎症マーカーである。
インターロイキンー6が肝臓――CRP
CRPの軽度な上昇は心筋梗塞発症の予知因子となる。
久山スタディから見た日本人における炎症マーカーと心血管リスク
歯周病で上がる範囲に合致していく。
広島スタディにおいて
糖尿病クリニックにて出前出張して歯周病治療をした人、
しない人を分けて検証した。
抗菌薬を使用した群がHbA1Cの改善率が良かった。
生体に軽微な炎症を有する患者のみ、HbA1Cの改善が見られた。
歯周病によるインスリン抵抗性は脂肪組織
IL6,MCP1
門脈域で炎症反応が増幅される。―――>crpの亢進
生体に軽微な炎症を伴う歯周病を有する糖尿病患者に対する効果的な(炎症を軽減するような)歯周治療は糖尿病の改善
重度歯周炎の
1%のHbA1Cの減少は末梢血管の37%の改善に繋がる。
ボルチモア老化研究
1.インスリン低値が長生き
2.体温が低いが長生き
3.性ホルモンが高いが長生き
インスリン抵抗性の持続は寿命を縮める。
著明な肥満――>脂肪分解――>内毒素
BMI>30は3%しかいない
日本人はあまり肥満しないのにアメリカと同等の糖尿病になる
BMI25付近で昔に比べ、ちょっと太った人の糖尿病が悪い
歯周病は口の糖尿病である。
JAMA2013:310 2523~2532
歯周治療でHbA1Cに変化なし
Arch Intern Med
日本人は糖尿病になりやすい
HbA1c7%(JDS値で6.5%程度)維持することが重要
糖尿病専門医から眼科は紹介するが歯科へは紹介しない。
以上のような内容を今回勉強いたしました。
立山 由乘