7月8日は月に1回開催されている口腔外科症例検討会でした。
佐賀大学口腔外科名誉教授の香月武先生にアドバイザーとして参加頂いております。
今回は6名の先生方が症例発表し、口腔外科に関するディスカッションが行われました。
(1)池松先生(クリニック院長)
エナメル上皮踵という顎の骨の中にできる良性腫瘍の疑いのある患者の相談症例でした。
レントゲンとCTでしか確認できない骨の中にある腫瘍にたいし、どのように対処していくべきか。その対応と今後の治療について教わりました。
この様な画像診断だけでなく、病巣の一部を切り取り、顕微鏡による病理診断を専門機関に依頼する必要性を香月先生に教えて頂きました。
(2)義川先生(基山医院院長)
上の前歯の根の先端に歯根嚢胞という膿のたまる袋ができている症例の発表でした。今回の症例は袋が大きく骨が薄くなって1回では取り出せない状態でした。そこで窓を開けることで少しずつ袋を小さくし、周りの骨を作っていく開窓手術という方法を学びました。同じ病気でもその状態によって、治療方法がいくつかあるので、術前診断が重要ということを再確認した症例でした。
(3)高橋先生(筑後医院院長)
上顎洞という 空洞の中に、炎症が起こっている患者についての相談症例でした。炎症の種類にともなった治療方法や耳鼻科との連携について学びました。他の医療機関との連携は歯科医にとって必要不可欠であることを学びました。
(4)中島先生(久留米医院所属)
左右の奥歯にインプラント治療を行う予定の患者が、片方だけ入れて治療を中断し、数か月後に治療を再開した時の問題についての発表でした。
左右片方だけよく噛めるようになると、どうしてもそちら側だけで噛んでしまうようになり、顎が少しずつそちらにずれて咬み合わせが悪くなります。治療再開にはそのずれを治すところから始めないといけませんし、中断していた為に、インプラントの周りに炎症が起こっている状態でした。一部分で噛めるからと治療を中断せず、きちんと全体で噛めるようにすること、また定期的なメンテナンスを続けることの重要性を学びました。
(5)森藤先生(西町吉田歯科医院所属)
義川先生と同じ歯根嚢胞についての症例の発表でした。こちらの症例はさほど大きくなかったので、外科処置を行い歯の根の先端と歯根嚢胞を一度に取り出し、検査機関で病理検査を行った内容でした。手術中だけでなく、術前の準備の重要性や術後の経過観察の重要性を学びました。
(6)高木先生(小郡医院所属)
治療前に行う資料収集についての発表でした。本格的に治療を始める前に治療計画を立てたり、患者に説明する為に、「口の中の写真」「レントゲン写真」「歯周ポケットの深さ」を揃えまとめる作業です。正確な診断とわかりやすい説明が出来るように、画一的な資料収集を行うことの必要性を学びました。
最後に、口腔外科、インプラントのスペシャリストである香月先生より、患者を紹介する際の注意点に対してご教授いただきました。
今回学んだことを日々の診療に活かしていきたいと思います。
西町吉田歯科医院:副院長 森藤